2025年10月24日金曜日

博閉幕 万博が私たちに残したものは

  10月13日、万博閉幕。入場者数2500万人突破、「万博の運営費収支は230億~280億円の黒字となる見込みで、子どもたちが未来を創造する機会になった。」と十倉万博協会会長は胸を張って見せたと報道されています。果たして「いのち輝く未来」の万博になったのでしょうか。入場者数は想定より300万人下回り、入場券販売も目標に届いていません。運営費はチケット収入など黒字と言いますが、警備費(255億円)や途上国出展支援(240億円)などを国費負担に付け替えし、赤字をごまかしています。他に会場建設費(国と大阪府・市と経済界で当初の2倍の2350億円)日本館建設費(国費360億円)、会場へのアクセス・周辺インフラ整備費(国費8
520億円)などの巨額の事業費が結局は国民・住民負担に付け回されます。さらに問題なのは、11の海外パビリオンで30以上の建設業者が未払いを訴えていることです。下請け業者は倒産寸前、死活問題となっていますが、吉村大阪府知事と国・万博協会などは「民民の問題」と責任放棄です。

 物議をかもしているのが「大屋根リング(建設費344億円)」。これを一部残すといいます。世界最大級の木造建築物としてギネスに認定されましたが、そもそも長期の使用は考えずに作られたものであり、その材料はスギやヒノキの集成材やCLT(直交集成板)です。海風・雨・紫外線のなどによる接着層の劣化は加速度的に進むのではないかと思います。改修費と今後10年間の管理費が55億円~90億円かかると試算。万博が残したものは私たちへの大きなツケのようです。(Y)


2025年10月17日金曜日

誰もが自分らしく生きられる社会に ~LGBTQについて考えた

 9月末に行われた日本母親大会の分科会に参加し、主に小学生から大学生のLGBTQの人たちを対象にした居場所支援の活動をしている一般社団法人にじーずの遠藤まめたさんを助言者に、LGBTQについて考えた。初めて知ることも多く勉強になった。NPO法人ReBitの最近の調査では10代LGBTQ52、9%が自殺念慮、19、6%が自殺未遂、42、2%が自傷行為を経験している。また他の調査では10代の当事者の3割超が不登校経験、4割がいじめ被害経験をしているということを聞き心苦しかった。家庭や学校での肯定的環境があることが本当に大事だと思った。最近は、偏見や不安を煽るデマがネットを中心に広がっているなかで、知らず知らずに思い込みで、トランスジェンダーの人を傷つけているかもしれない。周りにいないのではなくて、周りにいても言えないだけ。研究が進み性はグラデーションで、性の多様性が当たり前の時代になってきている。戸籍の性別で生活しているのではなく人間関係で生活している。価値観を押しつけるのではなく「あなたの好きなものを選んでいい」という話し合いができる社会に成熟させること、カミングアウトしても大丈夫だという社会をつくることが大事だと思った。(o)


2025年10月10日金曜日

「翠雨の人」・・・研究者 猿橋勝子の生涯に感銘

 猿橋勝子((1920年~2007年)は、大気と海の放射能汚染などの研究にその生涯をかけ、初の日本学術会議女性会員に選ばれ、自身も「猿橋賞」を創設し、女性の自立と後進の育成に尽力した女性科学者の先駆けである。第5福竜丸の「死の灰」を分析したことをきっかけに核実験による放射能汚染の深刻な影響を突き止め、部分的核実験禁止条約締結に大きく貢献。国際民婦連世界大会で「核兵器のもたらす災害について、誰よりよく理解しているのは我々科学者であり、科学者にはそれを全人類に伝える義務があります。科学者の最も尊い職務は、人類の幸福と平和に貢献することであり、科学を人間の殺戮と文明の破壊に使わせないことです」と演説している。猿橋勝子という生き方・哲学に強く共鳴した。「雨はどうして降るのだろう」と問うた女の子が、キュリー夫人に憧れ化学に一生をかけた生涯を描いた「翠雨の人」一押しです。著者伊与原新氏は、祖父が海陽町出身であり、直木賞を受賞した短編「藍を継ぐ海」は、県南部のウミガメ産卵地が舞台となっていることもあり徳島県にゆかりがある。個人的には、NHKドラマ[空わたる教室]でファンになった。(S)



2025年10月3日金曜日

デマと差別蔓延許さない


 太田啓子さん・松尾潔さんたちが呼びかけているがアピール賛同署名「国会議員はデマ、差別を止め、人権と憲法を守る義務を果たしてください」42586筆を各政党へ手渡す記者会見が9月25日国会内で開かれた。参院選での「今まで間違えたんです、男女共同参画とかは」「高齢の女性は子どもが産めない」「学校出たら、家に入って」などの参政党神谷代表発言に対して7月7日、「全国一斉に抗議アクションを」の呼びかけがされ(太田啓子、太田伊佐子、武井由紀子3弁護士)、徳島支部でも支部委員会後にスタンディングをしました。全国47都道府県250か所で行われた緊急アクションのうち、220か所を新婦人が担いました。太田さんは「このアクションからデマと差別があってはならないと感じてる人が少なくない、呼びかけがあれば行動する人たちがいる。差別をあおることで票になるという風潮があってはならない、差別がある限りアクションを続けようと思った」と話してました。今、行われている自民党総裁選5人の立候補者のうち4人までが外国人規制を掲げている。物価高騰、給料が上がらない、米不足など今、起こっていることは全て自公政権が行ってきた悪政のつけなのに外国人のせいにし、反省する候補者は一人もいない。デマを平気で垂れ流し、国民を欺く国会議員はいらない。11月2日、3日は新婦人の全国大会です。おかしいことはおかしいと声をあげるお仲間増やしましょう。(T)




2025年9月19日金曜日

白寿を迎えた父

 私の父は8月、99歳の白寿を迎えた。耳が聞こえないとか杖がないと歩きにくいとかはあるが、百姓で鍛えた身体は頑丈で元気である。元気とは言え手助けは必要で家族の負担は大きい。2000年4月から介護保険制度が始まり家族の負担を軽減、介護を社会全体で支える目的でできたのだが現実はどうだろうか。高い介護保険料を払いながら介護認定を受けないと介護サービスは受けられず、判定によって利用できないという、あってなきがごときのような制度のように感じる。誰もが利用できるもっと緩やかな判定基準を作ってもらいたものだ。

 訪問介護事業所が一つもない自治体が115町村、残り1の自治体は269町村にもなり訪問事業空白が急増している。徳島県では佐那河内村が0、勝浦町、上勝町、神山町が残り1となっている。

 今、来年度予算編成にとりかかっているが、社会保障や教育、くらしの関連予算についてみると、病床削減や保険給付のあり方見直しなどで削られる一方だが、原発推進を含むGX(脱炭素)分野や大企業を支援するAI・半導体分野は大盤振る舞い。それ以上に軍事費は過去最高の8.8兆円の概算要求。石破首相は退陣、次の内閣がどうなるか。与党過半数割れしている今こそ、私たちの要求が通る国会論戦で予算を立ててほしいものだ。安心して長生きできる社会でないと生きてるかいがない。(Y)


2025年9月12日金曜日

スフィア基準を満たして、尊厳ある避難所生活を

 9月1日は、死者行方不明者10万5000人を出した関東大震災から102年。南海トラフ大地震が今後30年以内に80%の確率で起きるといわれている。地震列島日本の避難所生活は安心できるものになっているだろうか?私が心配なのが「トイレ」。日本トイレ研究所(地道に研究しているんです!)によると、能登半島地震で避難所に仮設トイレが3日以内に設置されたのはわずか10%。行きにくいために水分を我慢すると脱水や熱中症、感染症に。悪化すると災害関連死にもつながる。特に女性は利用時間が男性の3倍という統計があり、国際的には「スフィア基準―災害の被災者が尊厳ある生活を送ることを目的に定められた基準」で、男女比1:3のトイレ数が必要とされている。8月18日の徳島新聞によると全国の避難所の49%がトイレ数基準を満たしていない。(鳴門・小松島・勝浦・松茂以外は満たしているー板野・佐那河内は未回答)スフィア基準では20人に1つだが、日本は避難者50人につき1つの便器数で全く足りない。因みに、携帯トイレの備蓄は、1人35個(S)


2025年9月5日金曜日

第65回徳島県母親大会記念講演を聴いて

8月31日の第65回徳島県母親大会記念講演「子どもと教育もやもや・そして希望」講師の鈴木大裕さんのお話は、共感することが多かった。今の新自由主義的な教育が教師も子どもも親も苦しめている。しかも、なんとなくもやもやするけど、○○についてどうしたらいいの?と議論して決めたことのように思い込まされ、日々それを実行しているからどんどんもがきながら進んで行っている。だから、思考も停止してしまい本質を見失う。講演の中で引用されたノーム・チョムスキーの『民衆を受け身で従順にする賢い方法は、議論の範囲を厳しく制限し、その中で活気ある議論を奨励すること』という言葉が、今の「学力向上のために」という議論と重なった。学力とは何かという議論がないまま、学校スタンダードだの、個別最適化学習だの、GIGAスクールだのやっている。アメリカの学校の写真に、個別に仕切られたまるでオペレーションセンターのような教室があった。子どもが向かうのは一人1台のタブレットである。アメリカの後を追う日本の公教育の未来の姿だとしたら悲しい。教師が一人ひとりの子どもに寄り添って人格の完成という本来の教育ができるよう、まずは、先生増やして!子どもの自由な時間をとりもどして! (o)