2025年5月30日金曜日

風船爆弾をつくった「女の子たち」

―わたしたちの東京は震災から復興を遂げ、わたしたちの兵隊の快進撃は続き、わたしたちのお祝いは終わらない。わたしたちはお国のために祈り、自戒自粛し、奉仕した。少女だからといって無力ではないと信じたかったからー

太平洋戦争末期、女学生たちは秘密の兵器を製造するため、東京宝塚劇場に集められた。知られざる“少女たちの戦争”の真実の物語「女の子たち風船爆弾をつくる」小林エリカ著を読んだ。壮大な詩のようで、同時に、緻密に調査された研究書の内容を持つ作品。憧れの女学校に入学した東京の女の子たちと、当時の少女たちを熱狂させた宝塚少女歌劇の女の子たちが、戦争に吸い込まれ、戦争に関わり、戦争の終結を迎え、現代に至るまでの大きな流れを描く小説。何より驚いたのは徳島県木頭の和紙も風船爆弾の材料に使われていたこと。日本国中が戦争に加担させられたのだ。作者の小林さんはたくさんの資料、文献を読み、体験者から聞き取り、小説を書いている。話を聞いた一人の人は戦後40年たったある日、書店の窓に飾られていた本の写真で風船爆弾を見かけたのを機に、自分が作っていたものが何だったのかを知ったそうだ。風船爆弾のことは「明治大学平和教育登戸研究所資料館」に展示されているという。資料館自体が、いまも唯一残る秘密研究所時代の建物だそうだ。為政者は都合が悪いことは隠ぺいしなくそうとする。それするばかりか、歴史を違うものに書き換えようとする。学術会議解体法案も西田議員のひめゆりの塔発言も、知らないうちに戦争へ加担させられた時代へ戻るようで恐ろしい!(T)


2025年5月23日金曜日

7月4日を「徳島県平和の日」条例制定へ 徳島新聞掲載の意見広告にご協力お願いいたします

 今年は戦後、被爆、そして徳島大空襲から80年の節目の年です。「徳島県平和の日」のとりくみは、戦後50年1995年に『平和の誓い』を21世紀へ」を合言葉に始まり、徳島大空襲の体験を語り継ぐ活動をすすめながら条例制定をめざしてきましたが、80年の年月は語り部の高齢化で戦争を語り継ぐことが困難な状況になってきています。

徳島大空襲をはじめとする戦争の悲惨な実相や体験を風化させることなく語り継ぐこと、「不戦・平和の誓い」を確かなものとし、次の世代へと引き継いでいくために、さまざまな立場の団体やグループ、そして個人が大きく連帯して取り組もうと「とくしまピースネット80」が結成され、新婦人も参加しています。

「世界の恒久平和の実現は、徳島県民の悲願である」とした「非核の県宣言」を踏まえ、多数の県民が犠牲となった第二次世界大戦下での徳島大空襲をその象徴的な惨禍ととらえ、7月4日を「徳島県平和の日」とする県条例の制定をめざし、徳島新聞への意見広告や署名行動にとりくんでいます。5月31日まで

(Y)




2025年5月2日金曜日

学術会議解体法案の先には科学の軍事利用が!

 今国会で審議されている日本学術会議の解体をする法案、学問のことだから国民生活には関係ないと思っていたら大まちがい。4月中旬に衆議院本会議で行われた日本維新の会の三木議員の発言で「学術会議はわが国の防衛に関する研究を拒否し続けている」と非難し「今日の国防に関する研究も・・・学術会議の目的にかなう」とし「かたくなな軍学共同反対のスローガンを改め、科学者がわが国の防衛や平和の維持に寄与できるようにしていただきたい」と言って、自民党席から拍手喝采がおこり、異様な光景だった。戦前、滝川事件や、天皇機関説の美濃部達吉公職追放、それから政府による思想統制が広がり、学術研究が国家権力に従属させられ、軍国主義や戦争を止められなかった。その反省から、権威や抑圧から独立し真理の探究を行う自治的な研究機関として学術会議が出発した。2020年に当時の菅首相が6人の任命拒否をした理由は、政府が理由を明らかにしなくても、安保法制が違憲だという立場の研究者だからというのは明白。政府にものを言う科学者を認めないことは、結局日本の知的財産の喪失にもつながる。政府が大軍拡の道を進んでいるとき、「軍事目的のための科学研究は行わない声明」を出してきた学術会議を解体してはいけない。(o)


2025年4月25日金曜日

公的年金積立金の異常を3つの視点から考えた!

 5年に一回の公的年金財政検証を経て、年金額が6月13日支払い分から1,9%引き上げられる。嬉しい!と手放しでは喜べない。物価上昇がその上を行くのだからもっと引き上げられてしかるべき。日本の年金積立金の異常。その1,あまりに巨額。2023年度の積立金は290兆円にもなり、これは給付額の5,3年分。ドイツの1,6か月分、イギリスの2か月分、フランスの1か月分と比べても桁違いに多い。物価高騰で生活苦の今、これを使わず、いつ使うのか?その2,公的年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の国債取引をめぐる疑惑解明がなされていない。巨大な資金力から「市場のクジラ」と呼ばれるGPIFの前最高投資責任者植田栄治理事が、内規の原則を逸脱して長期にわたり特定の2証券会社に国債取引を独占させていたという調査報告書。徹底究明を!その3,GPIFが国内外の軍事産業に巨額の投資をしていること。今年3月末時点で、イスラエルの国債を2270億円、同国に兵器を供給する軍事企業の株式を11社、6398億円保有している。このうちGPIFが1622億円の株式を保有している米キャタピラー社は、イスラエル軍に銃弾や地雷にも耐えられるよう装甲化し、地上部隊の侵攻ルートを切り開く兵器としてのブルドーザーを輸出している。私たちがコツコツ納めた年金保険料がガザ虐殺に加担しているかと思うと本当におぞましい。パレスチナでの民族浄化と虐殺への年金投資をやめよ!(S)


2025年4月18日金曜日

戦争に突き進んだ戦前の日本にならないように‼


 「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに・大阪・関西万博が13日開幕した。「並ばない万博」を目指したが、初日は入場に2時間、退場に1時間かかり、携帯電話が一時つながりにくくなり、5時間待たされた人もいたという。何よりも怖いと思うのが万博を批判的に扱うメディアの取材を排除していることだ。今月6日に行われたテストランに自らリースしたガス検知器を持参した元消防士で日本共産党守口市市議は測定した結果メタンガスの爆発下限界濃度を超える数値を検知し、現地スタッフに伝えたが緊急性を全く理解せず、防災センターに駆け込んでも取り合ってもらえず、検知から1時間近くたってやむを得ず自分で119番したという。感謝状を贈りたいぐらいだ。13日にも異臭と煙が出ているということで消防車が8台も出動したのに報道規制されている。そして一般の人からも「万博、始まったのだから批判せず盛り上げるべき、批判すると、せっかく盛り上がってるのに水を差すのか」というような声が多くなっているという。祝賀資本主義で通常働いていた感覚が働かなくなる。膨大な公金を使っていて普通だったらおかしいと思うことも祝賀ムードで流されてしまう。

 山中七平著『「空気」の研究』には戦争中B29がやってくるのに竹やりで練習させられたこと、日露戦争に向かって行く中、地元の人から、冬の八甲田山の訓練など死にに行くようなものだと言われても計画を変えられず、雪中行軍でほとんどの人が亡くなったこと、戦艦大和が出撃することになったのも「無謀だ」と言えない場の空気からだと書かれている。日本社会を支配しているのは法律や条例ではなく場の空気であるとする。空気に流されず、おかしいことはおかしいと言い続けなければ‼ 「輝く未来」ではなく戦争に突き進んだ戦前の日本になってしまう。(T)


2025年4月11日金曜日

「生理用品を市役所のトイレに」とのSNS投稿に殺害予告のメールが

 「トイレットペーパーみたいに生理用ナプキンをどこでも置いてほしい」とSNS投稿した吉田紋華三重県議対し、共感が寄せられる一方で、誹謗中傷や多数の殺害予告メールが届いたとのことです。吉田県議は「女性が上げた声を黙らせようとするもので許せない」と会見で表明しました。私たちは、「個人的なことは政治的なこと。自分の困りごとは政治につながっている」と声をあげてきました。経済的な理由などで生理用品が買えない「生理の貧困」がコロナ禍で顕在化し公共施設への設置が広がり国・自治体の施策となってきました。今年の2月公表された内閣府調査結果では過半数の926自治体で無償の取組みがされています。全公立高校のトイレに生理用品を置いている都県は15、全小中学校のトイレに設置している区市町村295に上ります。海外では生理用品を非課税や軽減税率にする取り組みが広がっています。「生理の貧困対策」とは、経済的な問題だけでなく、誰もが性と健康の権利が尊重され、生理を快適に過ごせる権利を社会的に保障するものです。生理の困りごとを自己責任にしない。声を寄せ集めて大きくしていきましょう。黙らせようとする圧力には負けません。(Y)


2025年4月4日金曜日

日本政府はトランプ大統領について行かないで!

  大統領になった途端、数々の大統領令にサインし「アメリカファースト」という麻薬的な言葉で支持者を熱狂させているトランプ大統領に、背筋が寒くなるようだ。関税引き上げ、パリ協定離脱、移民の締め出しなど挙げればきりがないが、教育省廃止にも驚いた。教育省の職員はもう半数くらい解雇されているとか。教育省にかける予算は無駄だと考えているのだろう。よい教育を受けたければ、自分でお金をかけろということか。教育研究者の鈴木大裕さんの「壊されるアメリカの公教育」という記事を読むと、トランプ大統領が就任する前から、アメリカの公教育はすでに崩壊の道をすすんでいる。みんなで学び合いながら学力をつけていくような教室ではなく、一人一人がパソコンに向き合い課題をそれぞれが解いていく一見合理的な個別最適化の教育が行われているという。そこには子ども一人一人に向き合い、学級集団をつくり、人間としての幅広い成長のために頑張ろうとする教師はいらない。学力テストで学校をランク付けし、市場型学校選択制を導入して、貧富の格差が受けられる教育の格差に直結していく。予算不足に陥れば、学校の教員も設備も十分でなくなり、悪循環である。そんな状況の上にトランプ政権の教育省廃止である。学力テストにこだわり、教育DXを進めていっている日本は、まさしくアメリカの後を追っている。ブレーキをかけて止まるべきだ。(0)