2025年6月13日金曜日

あらためて「アンパンマン」に込められた思いを考えた

  朝ドラ「あんぱん」がおもしろい。最近1歳の孫がアンパンマンの本を喜んで見ている。振り返ればどの子ども達もアンパンマンに親しんで大きくなってきた。梯久美子著「やなせたかしの生涯-アンパンマンとぼく」を読み、やなせさんは人間らしい知性のある方だと思った。絵本『アンパンマン』が幼児向けとして出されたのは、やなせさんが54歳の時だった。顔を食べさせる、ボロボロの焦げ茶色の服を着たヒーローなんか子どもに受けないと思っていた。でもどうしてもこの物語を世に出したかった。当時日本は高度成長期が終わりにさしかかっている頃、ピアフラ戦争が起こり、飢餓により死に瀕した子どもの写真が世界中に衝撃を与えていた。元祖アンパンマンがパンを届けた相手は「戦争が続いて、野も山もすっかり焼けただれた土地で,何にも食べるものもなく死にそうになっている子ども達」だった。顔がなくなってしまったり、雨に濡れるとアンパンマンは失速する、自己を犠牲にしても助けたい、どうしても助けたいと思ったとき勇気がわいてくると考えた。パワーがなくなったらジャムおじさんに助けてもらう、誰かを助ける存在であり、助けられる存在でもある。アンパンマンより前に作詞した『手のひらを太陽に』の「みみずだって おけらだってあめんぼだってみんなみんな生きているんだ友だちなんだ」という歌詞の意味深さも今さらながら心にひびく。戦争で正義が逆転した体験から、逆転しない正義を追求した姿勢、私たちも引き継ぎたい。(o)





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