「『どうしようもないおやじ』だった父は実は戦争による侵害的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しんでいた」。黒井秋夫さんは父・慶次郎さんの死後に心の傷を負っていたと気づき、父の人生と向き合い続けている。慶次郎さんは周囲からずっと「変わった人」と見られてきた。無気力で、短期の仕事を転々とし、笑顔を見せることもない。暴力を振るうことはなかったが、人付き合いを避けた。年々無口になり、晩年は孫が何度呼んでも返事をしなかった。「ああはなるまい」。黒井さんは父を軽蔑していた。黒井さんがPTSDに思い当たったのは2015年、ベトナム戦争から帰還した米兵が実態を語る映像をみて、父の姿と重なった。父親を語り合う場を設けると、「酒乱だった」「母を殴っていた」と打ち明ける人が相次いだ「復員した日本兵も一定数はPTSDを抱えていたに違いない」。黒井さんは2018年に「PTSDの復員日本兵と暮らした家族が語り合う会」を設立、2020年「PTSDの日本兵と家族の交流館」を建てた。「戦争がなければ貧しくとも情の通った親子でいられたかもしれない」と黒井さん。現在の親のDVや虐待も戦争が関連しているものもあるのではないかと思った。来年で戦後80年になるが戦争は終わってないと感じた。始まってしまった戦争はなかなか終わらない。終わっても様々な戦争の傷は孫子の代まで影響する。絶対始めてはいけない。厚労省は初めて今年旧日本軍兵士や家族のPTSDの実態調査を本格化させる。きちんと予算を出し、専門家を交えて調査してほしい。(T)
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