
1992年に852カ所あった保健所が2019年には472カ所に減少、職員数・医師も激減してきている。保健所は大正期からの結核に対応する目的で作られたもので、感染症対策を担う組織として設けられたものではない。感染症は伝染病予防法(1897~1999)のもと市町村が対応する仕事とされてきた。結核患者減少に伴い保健所不要論が台頭し、保健所の統廃合がすすんだが、近年のO157や新型インフルエンザなどの新しい感染症の流行で、保健所は健康危機管理の重要な組織として位置づけられるようになった。保健所の人員や予算は以前は厚労省による補助金で手当されていたが、2000年代の地方分権改革の結果、自治体の行政組織となり、自治体が担う健康問題には何でも対応しなければならなくなっている。新型感染症が発生すると、院内感染防止のための機関が必要になり「帰国者・接触者相談センター」が突然保健所に設けられた。これまで国民の生存権(憲法25条)に関わる「公衆衛生」とはなにかという議論がされずにきたことが体制弱化となっている。この機会に医療・保健体制に予算をつぎ込み専門機関の充実を願う。(O)
0 件のコメント:
コメントを投稿