2024年5月17日金曜日

「僕たちは星屑でできている」を読んで・・難民問題を考える

  英国に住むナタリー16歳。難民救済活動家でスイマーの母親を亡くした悲しみを乗り越え、募金活動のためにドーバー海峡横断にチャレンジする。アフリカの北朝鮮といわれる軍事独裁国家エリトリアに住む17歳サミーは、徴兵を逃れ自由を求めて命がけでイギリスをめざす。悲しみと痛みを抱く二人が運命的に交差する時、希望は生まれるのか?二人の言葉が輪唱のように響きあう詩物語という形式も珍しい。コスタ賞児童部門受賞したこの本は児童文学だが、私たちに難民問題について鋭く問いかける。世界では1億1000万人以上の人々が故郷を追われ、難民に。内戦・戦争で、地震や洪水などの災害で、ウイグルでの宗教・民族を理由とした政治的ジェノサイドや迫害を逃れてなど理由は様々。アフリカでは、ウクライナ侵攻が食料危機に拍車をかけている。干ばつに伴う食料不足を補っていた安価なロシア・ウクライナの穀物が高騰し食べられないのだ。アフリカからの移民は命がけの船旅で欧州をめざすが、地中海での海難事故で無事に欧州にたどり着けない。2023年1月~8月の犠牲者は1200人~1800人。子どもの命も例外ではない。欧州では、不法移民の急増に排斥する動きも起きている。行き場のない人々の存在は、犯罪や暴徒化など新たな火種となる。2023年、世界の軍事費は9年連続で増え約378兆円(1988年以降最高額!)このお金は破壊にではなく、世界中のサミーのためにこそ使ってほしい。(S)



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