2023年7月14日金曜日

「武器としての国際人権―日本の貧困・報道・差別」集英社新書を読んで

  今年の1月9日、著者藤田早苗さんの講演を聴いた。日本の「人権」教育が、道徳教育と同一視され、国の責任が抜け落ちているところが問題との最初の指摘には大納得!1999年国際人権法を学ぶために渡英した藤田さんは2013年特定秘密保護法案を国連の人権専門家に情報提供したのを始まりに日本の人権問題に関わる。「国際人権」とは国際的な条約、宣言、決議などによって示された人権の規範と制度の総称のこと。第二次世界大戦後つくられたコアとなる人権条約9つのうち、日本は8つを批准している。しかし、2013年安倍政権は「条約機関の勧告には法的拘束力がないので従う義務がない」という驚くべき閣議決定をし、条約実現のために必要な「選択議定書」批准もすべての条約でしていない人権後進国だ。だから、子どもの権利条約、女性差別撤廃条約、入管法などに国連の専門家から再三の勧告を受けながら無視し続けるのだ。藤田さんは①国内に人権機関を設立すること(独立した第三者が実施状況を監視できる)②個人通報制度を実現すること(選択議定書を批准しないと使えない)を提案する。あーっ!書ききれない。「国際人権」を私たちの運動の武器とするために本書をぜひ読んでほしい。(S)  

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